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理想と偽装の向こう側

第16章 懐古

「あの~?」



熊を被らせられたまま、悩んでる俺にモジモジと水越さんが声をかけ我に帰る。



「あっ!ごめんね。余りにも似合うから、見とれちゃった。」



半ば本音で言ってしまった。



「えっ…そ、そうですか?子供たちも喜ぶかな…これ。」



えっ!そりゃ喜ぶだろうけど、オッサン共も喜んじゃうよ!



水越さんの純粋な考えと、自分の邪さに罪悪感が湧いた。



いかん…うっかり、夢中になっちゃったよ…気を付けよう…。



「ははは…喜ぶかもしれないけど、きっと病院からはストップかかるかもしれないよね…。」



煩悩だらけの自分に頭を抱えながら、



「水越さん、他見ておきたい所あるかな?」



自制をかけてる俺を疲れてると思ったのか



「ごめんなさい…私一人ではしゃいじゃって…疲れましたよね。」



シュンとなる彼女に、自分を叱咤する。



水越さん!単に男のくだらない下心だよ!


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