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理想と偽装の向こう側

第17章 希望と絶望

躊躇してる…。



「光~花~。お願い…。」



ちょっと、甘えて言ってみると



「は…はい…。」



あぁ…ごめんな。



君の純情に付け込む、男の煩悩…。



光花の細い指先が、唇に触れると、背中がゾクッと震えた。



なんか…唇より、厭らしい感じがする。



戸惑いながら、唇をなぞる指を俺は咥え込む。



「ひゃっ!」



舌先で指をなぞり、指の間の付け根も這わせていく。



「あひゃっ!」



反応が可愛くて、光花の小さな手を舌と唇を這わせていった。



「やっ!ひゃっ!」



つい夢中になりそうになったが、
我に返る。



相手は病人だ。
無理させちゃいけないよな…。



そう思いながら、掌の真ん中に押し当ててた唇を…光花の唇に軽く重ねる。



「ひゃぁ…。」



ふっ…相変わらず不思議な擬音だな…。



三回ほど、繰り返し重ねて



「光花…退院したら、どこに行きたい?」



俺は、叶うか解らない問い掛けをした。

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