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理想と偽装の向こう側

第5章 トラウマ

「ちょっと…怖くて…。」



小田切さんは無言のまま、車を走らせた。



あれ…無反応?



どんな返事をしてくれるか、期待してしまってたのかも…。



それから私も黙っていると、五分もしない内にホームセンターに着き、駐車場に入った。 



「着きましたね…お疲れ様でした。大きな…」
「怖いのは、絵なの?彼氏?」



私の声と重なった小田切さんが、サイドブレーキを掛けながら、直球を投げてくる。 



「えっ!」



エンジンを切り、シートベルトを外して、座席を後ろ下げ軽く伸びをしながら続けて話す。 



「大好きだった筈の絵が怖くなったの?彼氏が絵描きだから、辛かった事を思い出しちまうのかな…。そんなに思い入れがあるのに…。」

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