テキストサイズ

理想と偽装の向こう側

第5章 トラウマ

「でも…。」



「ん?」



「それでも好きだったから何でもしようと思ったんです…。全力で頑張れたし、一生懸命になれたし…。彼が、私を必要としてる限りは…。」



デモ…ワタシジャナクテモヨカッタンジャナイ…。



そんな言葉が毎日、パルスの様に思考を駆け巡って、全てをもぎ取られていく感覚…。



「ふぅうっ…。」



泣けてきてしまった。
俯いて鼻をすする。



買い物に来て何で、泣いてるんだろうか?
みっともないし、申し訳ないよ。



「ひょ…ごめんなさい…。泣くつもりなんて…。」



「…泣きたいだけ、泣けばいいよ。俺の前では、みっともなくていいんだからさ。鼻水だって垂れてたって気にしないし、寧ろ垂らせばいい。」



「それは…女子的に嫌でふぅ~。」 



「そ?俺だって香織んの前では、みっともなく、いるつもりだよ。」



そう言って、スペシャル小田切スマイルを見せた。



「小田切ひゃんのみっともないとこ見たことないでふよ。」



「そうかな~?屁くらいコケるよ!」



「そこなんですか!?」

ストーリーメニュー

TOPTOPへ