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理想と偽装の向こう側

第5章 トラウマ

「ごめん、ちょっと電話してくる。」



「はいっ!気になさらず!ごゆっくり!」



小田切さんは、クスっと笑って電話を掛けに店を出た。



「渡辺さん、突然ごめんなさい!」



滝島さんも、ハキハキして明るい印象を受けた。



「いえいえ!タイミング良くて凄いですね。」



ちょっと、仕事の顔も新鮮だったし。



「本当~。小田切の楽しそうな所も久々に見れて良かったよ。」



「ん?小田切さん会社でも、あのテンションじゃないんですか?」



滝島さんは、一瞬目を大きくしたが、う~んと上目気味で言った。



「会社ではもっとなんかね…。俺は同期だから、もっと素な感じだよ。」



素っ!?



「因みに滝島さん…小田切さんて…モテますよね…?」



「はは~ん!渡辺さん心配?」



「いやいやいやいや!そんな関係じゃありませんから!」



もの凄い勢いで、手を左右に振った。
そんな私に驚いた感じで



「そ、なの?アイツ簡単に女の子連れ回さないけどな…。」



滝島さんの言葉にドキッとした。



「渡辺さん…アイツ元気?」



ああ…きっと滝島さんは、小田切さんの『傷』を知ってるんだろう。

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