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理想と偽装の向こう側

第21章 逆転

「へっ…よ…須永さんが。」



嘉之めっ!



でも、結果はイタリア行きは無くなったから良いけど。



「逆にあっちは動きが早まったようで、下見無しで近々もうイタリアに行ったきりになるって。だからご自身が日本に居る内に知りたかったみたいなんだけど…もう少し待ってくれてたら、違う結果だったかもしれないのにね。またのチャンスあるかもしれないから!」



井関さんは、私がイタリアに行けなくて落ち込むかと思ったのか、励ましてくれていたが、経緯を聞いて奇跡が起きたと思った。



なんてタイミングだろう…嘉之のイタリア活動が早まった事で、企画は通らなくなったに近い。



やっと呪縛が、解けたんだ。



「はは…ははは。」



自然と笑いが込み上げた。



「渡辺さん!大丈夫?そんなにショックだったの?」



「い、いえ…頑張ると、良い事って本当に起きるんですね!」



「え?」



井関さんは、笑ってる私に首を傾げていた。


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