シトイウカ
第2章 に。
「水族館にて」
海亀が泳いでいる
どうしてだろう
こうして巨大な水槽を見上げているからか
子供たちの喧騒が
歓声にかわって
夏の熱が首筋から肩を焼く
しぶきが飛ぶ
たった25メートルのプールに
原色のプラスチックが撒かれる
鼻をつく
塩素の臭い
揺らいでいる、コイン
もう少し、手を伸ばして
あと少し、水を蹴って
ふっ、と影
ぶくぶくぶく
と泡上る
水の中
目の前の
あなたの手に丸いコイン
黒い瞳が笑っている
ひらひらと
あなたの手に、一枚の赤いコイン
そして
水面下
二人で光の射す方へ
一緒に上がっていくから
海亀がゆったりと
水をとらえてヒレをかく
オールのように
巨大な水槽の向こうから
黒い瞳で僕を見る
週末の水族館は
家族連れが多くて
僕は人に押し流されていく
小学生が、僕の脇を走り抜けていく
そして海亀は去っていく
光の射す方へ
終わり
海亀が泳いでいる
どうしてだろう
こうして巨大な水槽を見上げているからか
子供たちの喧騒が
歓声にかわって
夏の熱が首筋から肩を焼く
しぶきが飛ぶ
たった25メートルのプールに
原色のプラスチックが撒かれる
鼻をつく
塩素の臭い
揺らいでいる、コイン
もう少し、手を伸ばして
あと少し、水を蹴って
ふっ、と影
ぶくぶくぶく
と泡上る
水の中
目の前の
あなたの手に丸いコイン
黒い瞳が笑っている
ひらひらと
あなたの手に、一枚の赤いコイン
そして
水面下
二人で光の射す方へ
一緒に上がっていくから
海亀がゆったりと
水をとらえてヒレをかく
オールのように
巨大な水槽の向こうから
黒い瞳で僕を見る
週末の水族館は
家族連れが多くて
僕は人に押し流されていく
小学生が、僕の脇を走り抜けていく
そして海亀は去っていく
光の射す方へ
終わり