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~多重人格パートタイムラヴァー・ガール~

第96章 ドライバーでスカウトマンで⑬

ボクは週に1日の休みと、もう1日のスカウトdayというのをボビーさんにもらった。
ケンさんは、ほとんど休んでなかったので、ボクが申し訳ないと言うと。

「この仕事は上になればなるほど休みが無くなるもんなんや。24時間、店のこと考えてる人間やないと店長にはなれないな。それに、そういう店長がいないと店は良くならない。商売人としては休みいらないから給料くれっていうくらいやないとな。それで、店もそれに答えて高給出す。それがいい関係になる。水商売はそういうもんや。サラリーマンやないんや。ケンは、やらされてるんやないんや。自分の意思でやってる。だからイツキ君が休みいらないと言っても、関係なくケンは変わらず自分の形でやるんや。アイツは今までそういうステージを与えてもらってなかったんや。だから、オレが思いっきりやれてドーンと評価あるステージ作るからって言って来てもらってん」

「二人の信頼関係を見てると、とてもカッコイイです」

ボクは二人のやりとりを見ていて、いつも思っていたことを言った。

「カッコイイか。ホンマは全然そんなことないけどな。無茶苦茶、強欲やで。金のために必死でやってるって言ってるわけやからな。でも、この単純なモチベーションが一番や。女の子にも、よく言うんや。女の子は肉体的にも精神的にも、この仕事が辛くなる時があるんや。プライベートなことが邪魔したりしてな。そんな時に言うんや。何のためにやってる?稼ぐためにこの仕事やってんねんやろ?。色々迷うけど、そこブレたらアカンってな。」

「やっぱり、そういう風に言えるのがカッコイイです。ボクは全然そういう気持ちになれないような気がします」

ボクはボビーさんと話すと、自分の情け無さを感じさせることが多くて嫌になって、つい俯いてしまう。

「たしかに。オレにも欲張りなイツキ君が想像できんわ。」

ボビーさんは口元に軽い笑みを浮かべて続けた。

「でも、確かイツキ君は自分がやってみたいこと探してたんやろ?この歳まで全く無かったって。確かにそれはカッコ悪い。だから、今はそれを本気で見つけてやるってことに、欲張りになったらいいやん。思いっきりやらんと、うわべだけではわからんからな」

ちの雲を一気に消し去った

「わかりました。ありがとうございます」

ボクは顔を上げて言った。

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