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そんな想い

第2章 片山と松岡

新入社員です…で済んでた時はあっという間に終了。

松岡さんの指導のおかげで、俺もいっぱしのサラリーマンになることができたと思う。

試用期間が終わる時、人事担当の面接があった。

ウチの会社はそこで、配属先の希望を改めて聞いてくれるのだ。

「えーっと…片山くんは……」

担当者はいくつかの書類をペラペラとめくり、それから言った。

「今の部署に残りたいってことですね?」

「はい」

「ちょうど良かった。あちらからも、是非君に残ってほしいと言われてるんですよ」

「はぁ…」

「ここだけの話、松岡が『あいつは渡さん』と…ね」

「え?」

仕事用から、ちょっと崩れた相手の顔をまじまじと見てしまった。

「私と松岡は同期でして。たまに飲みに行ったりしてるもんですから」

「そうなんですか」

「ここだけついでに言いますと、今度あいつ、ちょっと偉くなります。サポートをつけるんですけど、そこに君を…と思ってます」

願ったりかなったりだ。

俺は即座に「よろしくお願いします」と頭を下げた。

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