
そんな想い
第8章 松岡の告白
「あのな、ちょっと聞いてくれるか?」
「なんですか?」
正直、何を言われるのかわからなかった。
怖くないと言えばウソになる。
でも、さっきのキスが俺に自信を与えてくれていた。
多分、「死ね! 変態!!」みたいなことにはならないはずだ。
だからといって、「俺も前から…」なんてのはムシがよすぎる。
「あのな、俺、自意識過剰なんだと思ってたんだよ」
松岡さんは話し始めた。
「なんとなく、お前が俺に……、その……好意を持ってるって感じてさ」
“好意”って言葉は、松岡さん的には厳選した一言だったらしい。
ものすごく恥ずかしそうに口にしたから。
「でも男同士だしな。お前が一生懸命やってる姿を、勝手にそう変換したんだろうって思ってた」
松岡さんは言葉を切ると、「なんか恥ずかしいな」と言って、俺に背を向けた。
その背中を見ていたら、思わず抱きしめてしまった。
消えてしまいそうな儚さを感じたから。
