お兄ちゃんはいちご味
第9章 夏休みのひみつ
おじいちゃんの気の利いた提案で、あたしとお兄ちゃんは家の近くの海まで来た。
おじいちゃんグッジョブ!
「あっ見て!蟹だよ!お兄ちゃん!」
「え?あぁ、そうだな」
せっかくお兄ちゃんと二人きりで海に来れたのに、お兄ちゃんはなんだか上の空。
てゆうか、最近ずっとぼーっとしてるっていうか、あんまり元気ないんだよね…
「お兄ちゃん、なんかあった…?」
「別になんもないよ」
「……ゆりさんと喧嘩でもした?」
「え…」
お兄ちゃんの表情が固まった。
やっぱりゆりさんのことなんだ…
てゆうかお兄ちゃん、分かりやすすぎ…
「ふーん。お兄ちゃんゆりさんのこと好きなんだね!」
「はあ?なにそれ」
「今まで彼女のことなんか気にしたことなかったくせに」
「果乃には関係ない」
冷たく言われ、あたしの嫉妬心はさらに煽られる
「ねぇお兄ちゃん、喉渇いた」
「え…?」
渇いてもいないくせに、あたしは強引に血を吸おうとお兄ちゃんのTシャツに手をかけた
「ちょっ…いきなり何すんだよっ!」
「いいじゃんケチ!」
お兄ちゃんの腕にしがみつき、首筋に噛み付こうとしたその時…