お兄ちゃんはいちご味
第10章 真っ赤な果実
「吸血鬼はそういう生き物だから…
残酷で、冷酷な怪物……
俺も果乃ちゃんも同じでしょ?」
だけどその瞳はどこか苦しそうで――
何も言えなかった。
麻くんの言う通り、あたしは都合のいい言い訳でお兄ちゃんを縛ってるだけなんだから
「果乃ちゃんは俺が嫌い…?」
「…嫌いなわけない……けどあたしが好きなのは…お兄ちゃん……」
重苦しい沈黙が流れた後、麻くんが口を開いた。
「…ふぅん、相変わらず頑固なんだね。でも許婚の件は考えといてね?果乃ちゃんのお父さんが承諾してなくても、俺の母さんは賛成してるから」
「え…?」
「さっきの話…昔この木の下で言ったこと、本気だから…」
"俺、結婚しようって果乃ちゃんに言った……"
「てことで吸血鬼体質同士、これからも仲良くしよ☆」
麻くんはにこりと笑ってあたしの髪を撫でた。
いつも通りの笑顔に少しだけほっとしつつも、頭の中は相変わらずごちゃごちゃだった――