お兄ちゃんはいちご味
第11章 本心
「…ごめん…さっきまで一緒に捜してたんだけど、はぐれたっぽい…」
お兄ちゃんは表情を曇らせて視線を逸らす
いつもはあんな態度のくせに、お兄ちゃんも麻くんが心配なんじゃん…
辺りは既に真っ暗になっていて、はぐれてもおかしくない状況
「とりあえず立てるか?」
ズキッ
「…ぅ…足が……」
「痛い?」
「うん…でも少し捻っただけだと思う…」
「……乗れよ」
「え?」
お兄ちゃんはしゃがんだままあたしに背を向け、おんぶの体勢になっていた
「え、でも…っ」
「いーからはやく乗れって」
あたしは躊躇いながらお兄ちゃんの背中にしがみつく。
お兄ちゃんはひょいっと立ち上がって歩き出した
「ど、どこ行くの!?」
「さっき山小屋みたいなの見付けたから、とりあえずそこで休む」
「でも麻くんが…!」
「…雨も強くなってるし帰り道もわかんないんだから、今から捜しても余計消耗するだけ」
「…でも…」