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お兄ちゃんはいちご味

第12章 触れる体温




「くそっ圏外かよ。」


携帯は繋がらない。お兄ちゃんが言っていた山小屋は想像よりずっと小さい木造の休憩所だった

窓の外で激しく降り続ける雨音が聞こえる



「パーカー脱いだら?」

「えっ!?」



いきなり真顔で予想外のことを言われて過剰に反応してしまった



「…何驚いてんの。濡れたままだと風邪ひくぞ?」

「…あ、そっか…そうだねっ…」



お兄ちゃんはびしょ濡れのグレーのパーカーを脱いで既に上半身裸になっていた

お兄ちゃんの裸と一瞬でも変な期待をしてしまった自分に恥ずかしくなって、あたしは顔を赤くした


お兄ちゃんの裸なんて、小さい頃から何回も見てきたのに…

いつもならお兄ちゃんの前で下着姿になるくらい平気なのに…

今この狭い空間に二人きりだと思ったら、妙な緊張感に襲われた。



ふんわりと香るこの甘い匂いは、お兄ちゃんの肌の下に流れる血の匂い―――





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