お兄ちゃんはいちご味
第12章 触れる体温
「……なんだよ。はやく脱げば?」
目のやり場に困ってもじもじと俯いているあたしにお兄ちゃんは不思議そうな顔をする
「…だっ、だって……恥ずかしい…もん……」
まるで意識していないお兄ちゃんの態度に少し苛立って、思わず本音を言ってしまった
「…は…?」
「…だ、だって水着だし濡れてるし……お兄ちゃんはあたしの水着見ても、なんとも思わないんだ…」
「…なっ…
あ、当たり前だろ、バカっ…」
拗ねたように言うと、お兄ちゃんは急に顔を赤くしてあたしから視線を逸らした。
ジーッとファスナーを開ける音がして
水を含んでペタペタと肌に張り付いていたパーカーを脱ぐとなんだか開放感。
変な空気になってしまい沈黙が流れる。
あたしは沈黙に耐え切れず口を開いた
「……麻くん、大丈夫かな」
「あいつなら心配ないって」
「…でも、雨止まないし…」
麻くんのことはもちろん心配。
だけど本当はそれ以上にあたしは目の前にいるお兄ちゃんのことしか考えられないくらい意識してる
二人きりになったのも久しぶりで、なんだか気まずく感じて、なるべく言葉が途切れないように麻くんの名前を連呼した
「…はぁ…」
お兄ちゃんは煩わしそうにため息をついた