お兄ちゃんはいちご味
第12章 触れる体温
お兄ちゃんが口にした"妹"という響きにどうしようもない絶望感が襲う
「…別に妹のことなんか気にしてくれなくていいよっ……お兄ちゃんはゆりさんの心配だけしてればいいじゃんっ…!」
「…ゆりは関係ねーだろっ」
「関係あるよ…!!」
あたしもゆりさんになりたい
堂々とお兄ちゃんの彼女になって、お兄ちゃんを独占したい
お兄ちゃんに…愛されたい。
「だってあたし…お兄ちゃんのことが好き…」
「……知ってるよ」
「…違う…!あたしは本気だよ?
ほんとに、お兄ちゃんが好きなの…!
お兄ちゃんの彼女になりたい……」
胸がズキズキして痛い。苦しい。
どんなに好きでも、好きだって言っても、あたしがお兄ちゃんの妹である事実は変わらない
お願いだから、"妹"っていう言葉で片付けないでよ…
もっとちゃんと、あたし自身を見てよ―――
「果乃……」
お兄ちゃんは悲しそうにあたしの名前を呼んだ。
「俺たちは、兄妹だろ…?」
「…それが何っ!?…兄妹とか、そんなの…!」
「兄妹で恋愛なんて出来るわけなっ…ん…!」
反論するお兄ちゃんの唇を奪って言葉を塞いだ