お兄ちゃんはいちご味
第13章 麻くんとあたし
「それは…」
「だめじゃん好き嫌いしちゃ。捺くんのじゃなくても我慢して飲まなきゃ…」
なんで麻くんにはなんでもお見通しなの…?
まるで全てを見透かすような目であたしを見る
「そろそろ限界なんじゃない?」
麻くんは制服のポケットから小さな赤いカプセルを取り出した。
「辛くなったらこれ飲んで」
「…なにこれ…薬…?」
「飲めばわかるよ」
キーンコーンカーンコーン…
「あ、チャイム…」
「チッ…もう終わり?しょーがないな、今日は適当に誰かの血吸うか…果乃ちゃんまたね。」
麻くんは不機嫌そうにそう言うと、あっさり手を離して教室へ戻っていった。
カプセルを握り締めたまま、ぼんやりと立ち尽くすあたし
はあ、一体なんだったんだろ…
麻くん、ほんとのほんとにあたしの血吸う気なんだ…
もし麻くんに血を吸われたら
あたしはどうなるんだろ…