お兄ちゃんはいちご味
第14章 噛み跡
「これは…その…」
とっさに言い逃れようとしたが、言い訳なんて全く思いつかなかった。
「…あ、あれるぎー…みたいな…?」
みたいなってなんだよ…!
疑問形の答えに思わず自分でツッコミを入れてしまう。
せめて虫に刺されたとか猫に噛まれたとかの方がよかった気がするけど時すでに遅し
「えっアレルギー?」
「う、うん…」
「えー痛そう…!」
恐る恐る首の傷に触れる指。
あれ、意外と信じてる…?
「…いっ!…」
ゆりの指が傷をなぞった時、いきなりズキンとした痛みが走った。
「ごめん痛かった!?」
「…いや…だいじょぶ……」
ズキン…ズキン…
「…う……」
なんだこれ。
いつもならすぐ治まるのに…傷口が焼き付くように熱い…
「捺…大丈夫?」
「…たぶんすぐ治まる…から…」
額には汗が滲み、息は荒くなっていた。
これは一体なんなのか…
そんなことは頭ではわかってる。
俺の身体は血を吸われたいと言ってる
もう血を吸われる快感を知ってしまったから
だけど果乃に血を吸われるなんて…
もう二度と…