お兄ちゃんはいちご味
第14章 噛み跡
「…ん…やだ…こんなの捺じゃない…っ」
「…っはぁ…何言ってんだよ…
これが欲しかったんだろ…?」
「…ぁっ…ぁっ…なつぅ……」
"……嫌っ!"
こんな時なのにあの日の映像が脳内でフラッシュバックする。
果乃の恐怖に満ちた表情、震える肩…
果乃は何もわかってない。
俺のこと好きだとか言うくせに、求めれば遠ざかる
俺の男の部分を知れば、簡単に離れていく
果乃の俺に対する気持ちは、所詮ブラコンの延長なんだ。
俺がずっと一番近くにいたから、たまたま俺がお兄ちゃんだったから…
"お兄ちゃん"じゃない俺を見たら、きっと嫌われる
だけど違う、俺は違う…
「…あ…そんなとこ…やだっ…」
「俺のこと好きなくせに…っ…嘘つくなよ…」
「…んっ…はぁっ……」
口では嫌だなんて言ってても、ゆりは頬を染めて素直に反応する
本心は俺を求めてる
今までの彼女だって同じだ。
結局はみんな俺を求めてきた
だから俺はいつも求められるままに満たしてやるだけ
だから楽だった。
罪悪感なんか抱かなくていいから
ただ求められてるという安心感を見返りに、俺は告白してきた子と何人も付き合った。
恋人と見せかけた、需要と供給だけの関係を続けてきたんだ――