お兄ちゃんはいちご味
第14章 噛み跡
それはいつも"俺のことが好きな女の子"としか付き合わなかったから…
もちろんいつも最初は本気で好きになろうとしてた。
だけどやっぱり妹より、果乃よりも大切に思える存在にはならなかったんだ。
だから結局はいつも割り切って
そのかわり、決して満たされることのない心…
俺は臆病者だ。
本当に一番欲しい果乃には「好き」の一言すら言えないくせに…
「…はぁ…っは……」
「んっ…っ…あ…っ」
荒い吐息が混ざりあって、俺とゆりは最後まで達した。
しばらく余韻に浸った後、息を整えて制服を着ながらなんとなく冷静になっていく
傷口の痛みはいつの間にかひいていた。
つい勢いに任せ過ぎたかもしれない…
残ったのは少しの後悔と罪悪感。
今度こそ、ゆりとはちゃんと付き合おうって
ちゃんと好きになろうって決めたのに…
俺は結局果乃のことばかり考えてた…
「……ごめん」
思わず謝るしかできない。
俺ってほんと最低だな…
「…捺…あたしね、捺があたしのことほんとに好きになってくれるように頑張るから…」
「ゆり…」
「だってそれ分かってて告白したんだし、いつかは絶対あたしが捺の一番になってみせるからっ」
ゆりは少し恥ずかしそうに笑った。
ゆりはこんな俺のこと、本気で好きでいてくれてる…
俺の罪悪感は更に増して、胸がぎゅうっとなるのが分かった。