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お兄ちゃんはいちご味

第1章 あまい匂い




あたし、月神 果乃(つきがみ かの)

16歳の高校1年生

大好きなパパとお兄ちゃんと暮らす、ごく普通の女の子。



だったはずなんだけど――







「果乃、お昼そんだけ?」

昼休み、いちご牛乳を片手にぼーっとしていたあたしに声をかけたのは、小学校からの唯一の親友で同じクラスの野々宮 美子(ののみや みこ)だ




「あ、うん…最近なんか食欲なくて」

へへっと笑ってみせる



美子はふーん、と割と興味なさそうな反応をしつつお弁当を広げた。


「あ、そういえば!今朝、捺くんが3年の先輩に告られてんの見ちゃった。」

「へ、へぇ〜……」



捺くんというのは、あたしのお兄ちゃん

月神 捺(つきがみ なつ)

あたしの一個年上の同じ高校の2年生

美子は小学生の頃からお兄ちゃんのことを知っているので、今も捺くんと呼んでる。




「何、その反応」

「何って何が?」

「ファザコンでブラコンの果乃ちゃんらしくなーい!」

「ファザ…」

「事実じゃん☆」




たしかに、否定できない。

あたしはたぶん俗に言うファザコンでブラコンなんだと思う


ちょっと前のあたしだったら、間違いなくお兄ちゃんに告白した子の身辺調査を即効開始してチェックリストに追加してるはずなんだけど…



「捺くんとケンカでもした?」

「いや、別にしてないけど…」




ケンカなんかしてない。
お兄ちゃんのことは大好き。
てゆうか距離を置いてるんだよおぉ…




理由?



それは…





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