
お兄ちゃんはいちご味
第4章 吸血レッスン
ガチャッ――
「果乃ちゃん?帰ってたの?」
「パ、パパ!ただいま」
あたしは血の付いたお兄ちゃんのシャツを慌てて洗濯機に押し込んだ。
「お、お兄ちゃんは…?」
「捺?そういや帰って来るなり部屋閉じこもって出てこないねー。寝てるのかな?」
「ふぅん……そっか……」
「なんか元気なさそうだね。捺くんと喧嘩でもしたの?」
パパは優しい笑顔を見せる。
この笑顔を見ると、ついついパパを頼りたくなってしまう。
それに、パパはなんでもお見通しだから…
「別に喧嘩とか…そうじゃなくて…」
「ん?」
「…あたしね、なんてゆうか……ちょっと自分が怖いってゆうか…まだこの体質に慣れなくて…」
あはは…と引きつった笑顔で言った。
「ん〜。そっか。なーるほどね」
「うん…」
「わかった。じゃあ今度パパがちゃんとしたお手本見してあげよう♪」
「…へ?」
「果乃は吸血鬼体質とこれからも付き合ってかなきゃならない。お手本を見せるのも、パパの仕事だからね」
パパはいつも通りいたずらっぽく笑って脱衣所を後にした。
お手本って……
そういえばパパが食事してるとこ、見たことないな…
もちろん普通のごはんはいつも家で食べてるのを見てるけど、血を吸ってるところなんて見たことなかったな…
