お兄ちゃんはいちご味
第4章 吸血レッスン
「…はぁ…………ごちそうさま♪」
パパはすっかり気絶してしまっている美子の首筋から口を離し満足そうな顔で舌なめずりする
長めの前髪が乱れ、唇からは美子の赤い血が垂れている
実の娘のあたしがこんなこと言うのも変だけど…
こんなパパは初めて見る。
なんだかすごく性的で…
目のやり場に困ってしまう。
「ちょっとやり過ぎちゃったかなぁ…」
「パ、パパ!!何考えてんの!?」
あたしは我に返り、パパに戸惑いの感情をぶつけた
「そんな怒らないでよ果乃ちゃん…最近若い子の血吸ってなかったからちょっと味見しただけ」
「あ、味見って……キスまでしたくせに………」
「キスくらいしてあげないと悪いだろ?ただで血をもらうかわりにちゃんと気持ち良くしてあげないとね」
「で、でも……パパは…平気なの?美子は、昔から知ってるのに……」
「別に誰だろうと関係ないよ。いい?果乃。単なる食事に情を持つだけ無駄だよ。愛情なんてもってのほか」
パパは冷めた目で淡々と話した
「血を吸う相手は単なる食事でしかないし、いちいち愛情かけてやる必要なんてないんだよ。俺達はそうやって生きていかなきゃいけないんだ。もちろん果乃もね…よく覚えておきなさい」
愛情……
単なる食事………
そんなの分かってる。
でもあたしはお兄ちゃんを単なる食事なんて思ってない
パパは、お兄ちゃんを単なる食事だと思えって言うの…?
いつになく冷たい口調のパパに、あたしは黙って聞くしかできなかった
「でも果乃の大事な友達を食べたりするのはちょっとやり過ぎだったかな。美子ちゃんには悪いことしちゃったね…眼を使ったから記憶は消えてると思うけど…」
そう言っていつもの優しい表情に戻ったパパにあたしは内心安心した。
その日、気絶した美子はそのままうちに泊まり、次の日は何もなかったように元気に帰っていった。