お兄ちゃんはいちご味
第7章 気持ちいいっていってよ
それからあの夜、お兄ちゃんはこれからもあたしに血を吸わせてくれる代わりに約束をしようと言った。
『これからはむやみに俺を避けたりしないこと。
普通に喋ること。
そういう態度はムカつくから…
わかった?』
ということらしい。
お兄ちゃんてば、ほんとにあたしのこと大好きなんだから…
たとえそれが"妹"としてだと分かっていても、やっぱり嬉しくてついついにやけてしまう
あたし、やっぱりこのままずっとお兄ちゃんの妹でいいかも…
と思ったのも束の間。
「捺〜っ!」
お兄ちゃんと登校中、後ろから甲高い声が聞こえた
「ゆり…おはよ。」
げっ…
ゆりさん……!
せっかく久々にお兄ちゃんと二人で学校行けると思ったのに…
「あれ?妹ちゃんと仲良く登校とは珍しいね?」
「そう?中学ん時は毎日一緒だったけど」
ナイスお兄ちゃん!!
へへーんっ、残念でしたあ!
「そういえばそうだっけ。まあいいや、昨日捺が貸してほしいって言ってたCD持ってきたよ♪」
「まじ!?やった」
「3番目の曲、ちょーいいから!」
「あーあれね?」
なんだか楽しそうな二人。
なんだよっ…
共通の話題なんかで盛り上がっちゃってさ。
あたしの方がお兄ちゃんの趣味知ってるもん…
お兄ちゃんの好きなバンドとか、全部知ってるもん…
楽しそうに話す二人を見て、
なんだか急に、自分は所詮ただの妹でしかないんだって思い知ったような気がした
それに、こうして見ると二人はすごくお似合いかもしれない
二人とも、背が高くてスタイルがよくて並んで歩いているとなんだかモデルみたいだ。
美人で大人っぽい顔立ちのゆりさんは、綺麗なお兄ちゃんの隣にいても全く違和感がない
その点、あたしは…
チビだし、子供っぽくて…
どう見てもお兄ちゃんの"妹"……。