お兄ちゃんはいちご味
第8章 血の味
ゆりは起き上がり、シャツ着る
「あーあ、このまましてくれたら絶対あたしのものになると思ったのになー」
涙を拭いていつものように軽い口調で話すゆり
「でもあたしのことも"大切"に入れてくれたから、いいやっ!」
「え?」
「捺くんは大切なものには手を出せないいくじなしってこと〜!」
皮肉混じりにそう言って、無邪気に笑って見せた
「なんだよそれっ!」
「あははっ、でもあたし諦めないから!今の彼女はあたしなんだからねっ」
「うん」
「だから待ってる。夏休みは…会わない」
「え…?」
「今すぐ結論聞いちゃうの怖いんだ……捺の答えは分かってるから。だからあたしのこと、もうちょっとゆっくり考えてほしい。あたし待ってるから……」