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美味しいケーキの果物たち

第3章 オレの名前はヨシキだ!

カランコロン♪
 ドアのカウベルがなる。

「いらっしゃいませ!」
 ウェイターが元気よく出迎えてくれた。

(メイドじゃない…)
 佳輝は出迎えてくれた店員を見る。

「チワス!」
 元気な声の男性は、店員に手を振る。

「あ!また、こっちから入ってくる!」
 ウェイターの子がメイドの子と同じように怒っている。

(この人も店関係者…)

「へへ。今日二回目!でも、今回は同伴だよ!」
 男性は佳輝をグイッと引き寄せる。


「あ、いらっしゃいませ」
 ウェイターが頭を下げる。


「あぁ…どうも…」
 佳輝も頭を下げる。

「さ!こっちこっち!」
 元気な青年が佳輝の背中に手を回す。


 ゾクっと体がざわつく、今回は一時的ではない。

(ヤバイ!震え出した!…頼む…早く治まってくれ…)
 心の中で、佳輝は叫んでいた。


「カズくん!そっちは…」
 ウェイターが呼び止める。

「大丈夫だよ!伊蝶さんのお客さんだから!メニューお願いね」
 元気な青年は片手を振る。

「それならいいけど…」
 ウェイターがカウンターに走る。

「さ。この席にどうぞ!」
 元気な青年はさっきから、顔を上げれなくなった佳輝に構うことなく、植物の囲まれたボックス席に連れて行く。


「……頼む……くれ…」
 佳輝は搾り出すように声を出す。

「ん?なに?」
 元気な青年は佳輝の方を向く。

「…っ…手…離してくれ…」
 佳輝は顔を上げずに呟く。

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