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美味しいケーキの果物たち

第3章 オレの名前はヨシキだ!

「もぉ!人と話をするときは、顔向けて!目を見て!」
 青年は佳輝の両頬を両手でつかむと、無理やり顔をあげさせる。

「や、やめろ…頼む…」
 佳輝は抵抗する事無く、顔を上げる。

「は…離してくれ…」
 涙目の佳輝。

「!…」
 元気な青年は黙って手を離す。

「…………」
 佳輝は顔を少し押さえて、ボックス席に崩れ座る。


「こちら!メニュー…」
 メニュー表を持って後から来たウェイターが黙ってしまった青年と、ボックス席でグッタリしている佳輝を見て、ギョッとしている。

「あ…あの…さぁ…」
 青年が佳輝に話しかけようとする。

「…………」
 佳輝は反応しない。


「お客様!コチラ!ナイトメニューです」
 ウェイターの子が少し大きめな声で、二人の間に立つ。

「ご注文がお決まりになりましたら、そちらのボタンでお呼びください」
 ウェイターが佳輝の前にメニューを置き、ボタンの場所を伝え、頭を下げる。

「………」
 佳輝はチラッとボタンを確認する。



「カズくんこっち来て!」
 ウェイターの子が青年の腕をつかむ。

「あ!桃ちゃん痛い!」
 青年は痛そうな声を上げる。

「サッサと来る!」
 ウェイターの子は青年を連れて席から離れる。
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