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美味しいケーキの果物たち

第2章 珈琲の香りに誘われて

カランコロン♪
 店のドアが開く。

「こんにちは!」
 誰から元気な声で入ってくる人。

(わ!危ないな…)
 佳輝が入ってきた人にぶつかりそうになって、横によける。

「あー!また、こっちから入ってくる!」
 レジの子が怒っている。

「へへ。こっちの方が近い…あ!すみません」
 入ってきた元気な人は、佳輝に気がついて頭を下げる。

「ありがとうございました!またお越しください!」
 青年はニコッと笑ってドアを開けてくれた。

「あーどうも…」
 佳輝は店を後にした。


 外から中を見ると、さっき入ってきた青年とメイド服の子が、話をしていた。

(いいな、ああやってワイワイ話が出来て…)

 佳輝は、対人恐怖症になりかけたことがある。

 現在はその病状は改善しているが、面と向かって…とか、目を見て…とかが苦手なままになっている。

(別に、生活には支障がない…)
 佳輝は今日から住む部屋に向かって歩き出した。



 借りた部屋の方に行くと、人だかりで進めなくなった。

(なにかあったのか?)

 その人だかりを掻き分け進むと、二階の屋根や壁は殆ど無いアパートをみんなが見ていた。

「あ、あの…」
 佳輝は近くにいたおばさんに声を掛ける。

「なんだい?」
 おばさんは気さくに答えてくれた。

「あそこ銀杏荘ですか?」
 火事のあった方を指さす佳輝。

「そうよ。古いアパートだったから、漏電ですって!火事は怖いわね」

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