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『幼なじみ』

第14章  予兆



長い間・・・
無言で背中を
擦ってくれている・・・


ルイ君のお陰で・・・


徐々に・・・
冷静さを取り戻し・・・


気分も・・・
落ち着いて来た
拓弥は・・・


顔を上げると・・・


「ルイ君・・・
マジ有難うっす・・・。


喜多見さんに
物(ブツ)渡したら


これっきりにして
貰えるよう
話つけますよ・・・。


ルイ君のお陰で・・・
上物・・・
手に入ったんだし・・・


何の問題も・・・
無いっすよね・・・!」


と・・・
自分を奮い立たせ・・・


改めてルイ君に
感謝の言葉を
口にしながら・・・


東京連合から・・・
一切・・・
手を引く覚悟を
心に決める・・・。


徐々に・・・
車内の熱気で
曇りだした・・・


運転席側の
ドアの窓を・・・


シャツの袖で
拭きながら・・・


目を凝らして
外を眺めると・・・


雨足が・・・
更に強くなり・・・


東京湾が・・・
時化のように
大きくウネリ・・・


埠頭に架かる霧が・・・


段々と・・・
此方に・・・


不気味に迫って
来るように
見えてくる・・・。


「ルイ君ッ!!


一旦・・・
場所変えましょッ!」


この場に居ると・・・
何か悪いモノに
取り憑かれ・・・


丸く収まる話も
破綻するかも
しれない・・・


そんな・・・
不吉な気分に
苛まれた拓弥は・・・


慌てて・・・
ハンドルを握り・・・


これから・・・
悪い事が起きそうな
予感を・・・


ブオンッ!と
エンジンをかける
勢いで払拭すると・・・


真っ暗で・・・
ほぼ何も
見えない道を・・・


ボルボの
ハイビームで
照らし出し・・・


槍のように
降ってくる雨を・・・


ワイパーで
跳ね除けながら・・・


キキーッと・・・
急発進し・・・
埠頭を後にした・・・。
















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