『幼なじみ』
第20章 魔性
「お待たせ・・・!
ホント・・・有難うね・・・!」
未だ・・・
人が闇雲に
出入りしている
エントランスを横目に・・・
漸く・・・
一階の階段横に
到着した春斗が・・・
イライラした様子の
女を見付けると・・・
後ろから・・・
ポンポンと
優しく肩を叩き・・・
明るく声を掛ける・・・。
スラッとした
スタイルに・・・
黒い光沢のある・・・
高級感漂う
GUCCIのセットアップを
綺麗に着こなし・・・
GUCCIの大きめの
黒いサングラスを
頭に乗せ・・・
ストレートで
セミロングの黒髪には・・・
金色のメッシュが
細かく入り・・・
CHANELの
甘ったるい
香水の匂いを・・・
振り撒きながら
立ち竦む・・・
鼻にツク程・・・
目鼻立ちの整った
超美形のその女は・・・
振り向きざまに・・・
春斗に気付くと
急に甘えた声で
拗ね始める・・・。
「もぉ~!春斗?!
遅いんだけどぉ~?
何してたのよぉ~」
「うん・・・ごめんね・・・。
ちょっと仕事の話が
延びちゃってさ・・・
アッ・・・!
女の子達に整理券・・・
配ってくれた・・・?」
いつもならば・・・
早々に・・・
ファンの女の子に
囲まれているハズの
春斗が・・・
辺りを見渡しながら
不思議そうに・・・
尋ねている・・・。
そんな・・・
二人のやり取りを・・・
些か疲れ気味の
拓弥は・・・
少し離れた
静かな場所で・・・
ジックリと・・・
観察していた・・・。