
『幼なじみ』
第22章 詐称
「ジントニック二つね!」
VIPルームを後にした
あたしたちは・・・
そのままVIP専用の
バーカウンターに
向かい・・・
先ほどのバーテンに
笑顔で酒を頼む・・・。
此処の
バーカウンターは・・・
大きなコの字型に
なっており・・・
普通のバーのような
丸椅子が・・・
カウンターの
両サイドに
何脚も並べられ・・・
マッタリと
座りながら・・・
酒を楽しめるように
なっていた・・・。
「この丸椅子付近に
居るとさぁ・・・
なんか・・・
男に飢えた女が
ナンパ待ちしてる風に
見えるから・・・
普段は
絶対座らないけど・・・
今日は仕方ないッ!
拓弥君発見の為に・・・
このナンパゾーンに
座るしかないね・・・?」
美波が・・・
渋々と言った表情で
辺りを警戒しながら・・・
丸椅子に
腰を掛ける・・・。
確かに
目をギラギラさせた
数人の男達が・・・
あたしたちを
値踏みするかの
ように・・・
周りをウロチョロ
し始めるのが・・・
手に取るように
分かる・・・。
しかし・・・
このカウンター席は・・・
ここに酒を
買いに来た・・・
全員の客の顔を
見渡せる
唯一の場所であり・・・
あたしは一先ず
座る前に・・・
拓弥らしき人間が
居ないか・・・
食い入るように
一人一人の顔を
確認した・・・。
