
『幼なじみ』
第22章 詐称
しかし・・・
人混みの中に・・・
あの懐かしい顔は
見当たらず・・・
あたしが
「ふ~」と・・・
溜め息をつき・・・
何気なく
遠くを眺めた瞬間・・・
あたしたちが
先程歩いて来た・・・
このVIPゾーンに続く
向かいの
細長い通路から・・・
あまり
クラブ馴れして
いないような・・・
いまいちパッとしない
二十人程の女の集団が・・・
ガヤガヤと
此方に向かって
来るのが見えた・・・。
「何だろう・・・美波?
見慣れない
女の子たちが・・・
いっぱい此方に
向かって来るよ・・・?」
あたしは
怪訝な表情を
浮かべ・・・
美波に問い掛ける・・・。
すると美波も
丸椅子から腰を上げ・・・
どれどれ・・・?
とばかりに
通路の方を見つめる・・・。
「あッ・・・ほんとだ!
何か大人しそうだし
場違いな
女の子たちだね・・・?
つかさ・・・
あの集団の
一番前に居る・・・
ケバイ女見てよ・・・!
なんか・・・
チョー高飛車っぽく
ない・・・?」
さほど
地味目な
女の集団には
興味は示さなかったが・・・
先頭で
腰をクネらせながら
色気を振り撒いて
歩いている・・・
黒のセットアップを
身にまとった・・・
著しく
派手な女に対し・・・
美波は瞬く間に
嫌悪感を露にした・・・。
