『幼なじみ』
第23章 罠
そして・・・
新たに
気合いを入れ直した
拓弥は・・・
目の前の
硝子の重い扉を
押し開け・・・
ゆっくりと
中へ入って行く・・・。
ブラックライトだけが
暗闇に点灯する・・・
細長い
真っ直ぐな通路には・・・
冷たい空気が
何処からか流れ込み・・・
更には・・・
真っ白なスモークが
立ち籠めているせいか・・・
Tシャツでは
肌寒いほどだ・・・。
程なく・・・
通路が無くなる
手前で・・・
立ち止まった
拓弥は・・・
一瞬・・・
ブルッと
武者震いを起こし・・・
一息つく・・・。
『ふ~
流石・・・VIPだよな・・・』
心地良いハウスが
流れる中・・・
選ばれた人間達が・・・
センスの良い
服装に身を包み・・・
酒を飲みながら
談笑する・・・
目の前の
煌びやかな空間には・・・
下層の
フロアとは・・・
全く異なる
高貴な空気が
充満していた・・・。
拓弥は・・・まず・・・
悠希と
喜多見らしき男が
居ないか・・・
辺りをゆっくり
見回してみる・・・。
すると・・・
右側の
VIPルームの扉には・・・
梨香が
言っていた通り・・・
【本日貸し切り】の札が
目立つように
飾ってあり・・・
一瞬・・・
拓弥の心臓は・・・
余りの緊張からか・・・
ドクンッ!!と
大きく跳ね上がった・・・。