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『幼なじみ』

第28章  脅威



グイグイと
VIPのフロアの人間を
掻き分け・・・


勇み足で進んで行く・・・
春斗の後を
追いかけながら・・・


拓弥は・・・
未だ会ったことの無い
春斗の兄貴の姿を・・・


悠長にも・・・
暫し・・・想像してみる・・・。


『春斗の兄貴かぁ・・・


あれだけ・・・
春斗がイケメン
なんだし・・・


まぁ・・・多分・・・
男前には・・・
違いないな・・・


スタイルも良くて・・・
お洒落で・・・


きっと・・・
誰からも・・・
慕われてんだろーな・・・』


そんな・・・


自分勝手に・・・
ソフトで優しそうな
兄貴の人物像を
頭の中で創り上げ・・・


迂闊にも・・・


安心しきってしまった
呑気な拓弥に向かって・・・


春斗が・・・
いきなり・・・


中央のVIP専用の
バーカウンター付近で
立ち止まり・・・


振り向きざまに・・・
声を掛けてくる・・・。


「オーイ!拓弥――?


喉渇いたでしょ?!



酒はマズイから―


取り敢えず
水調達してくるわッ!


先に行って
左側のVIPルームの
出入口付近で待っててよ!」


流石・・・
このクラブの
専属DJだけあって・・・


顔パスの春斗は・・・


列に並ぶコトなく・・・
すかさず・・・
バーテンダーに
声を掛けている・・・。


そして・・・


そんな春斗に
無言で笑い掛けながら・・・


言われた通り
先に進んで行く
拓弥の面前には・・・


スモークがかった
妖しげな
左側のVIPルームが・・・


拓弥を・・・
焦らすかのように・・・


じわりじわりと・・・
不気味に
近付いて来ていた・・・。













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