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『幼なじみ』

第29章  談合



そして・・・


そんな拓弥を・・・
冷酷な表情で
見下ろしながら・・・


ソファーから
重たい腰を上げた
春斗の兄貴は・・・


「ヌカるなよ・・・。」
とだけ・・・
冷淡に一言告げ・・・


ソファーの後ろを
ノシノシと歩き・・・


暗幕のカーテンを
サッと開け・・・


二人を残したまま・・・
静かに個室から
出て行ってしまう・・・。


すると・・・


未だ立ち上がったまま・・・
頭を下げている・・・
拓弥に向かって・・・


一先ず・・・
冷静さを取り戻した
様子の春斗が・・・


目を細めながら・・・
ゆっくりと話し出した・・・。


「拓弥・・・?
もう・・・頭上げてよ・・・?


確かに・・・
大変なコトには
なったけど・・・


あんな兄貴でも・・・


拓弥が余計な動き・・・
しない限りは・・・


確実に・・・
味方になって
くれるだろうし・・・


俺もさ・・・


兄貴と拓弥の・・・
良い橋渡し的な存在に
なれるように・・・
頑張るからさ・・・!


とにかく・・・


もうそろそろ・・・
3時になるし・・・


余計な事は
今は考えないで・・・


屋上行って・・・
喜多見さんに・・・
クスリ渡して・・・


パーティーの
詳細だけ・・・
大人しく聞いてくれば・・・
良いんだから・・・


大丈夫・・・!


サッサと終わらせて・・・
早く帰ろ・・・?」


言い終えると同時に
スクッと立ち上がった
春斗は・・・


ゆっくりと歩きながら
拓弥の後ろに回ると・・・


漸く頭を上げた拓弥の・・・
両肩を掴み・・・


ソファーの外へと・・・
連れ出してくれる・・・。


そして・・・漸く・・・
腹が座って来た拓弥は・・・


「じゃ・・・俺行くわ・・・
何かあったら・・・
宜しく頼むな・・・」


と・・・
春斗に一言告げ・・・


今一度・・・
右手に握っていた
薬物入りの紙袋を
しっかりと持ち直し・・・


暗幕のカーテンを
ゆっくり開けると・・・


ピッタリと
後ろから付いてくる
春斗と一緒に・・・


しっかりとした
足取りで・・・
個室を後にした・・・。














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