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『幼なじみ』

第29章  談合



そして・・・


新たに・・・
気持ちを切り替えた
拓弥は・・・


テーブルの上に
バラまいたゴミ屑を
掻き集め・・・


兄貴の目の前に
置かれた・・・
喜多見の名刺を
サッと拾い上げると・・・


短パンの・・・
ポケットの中に・・・
グリグリと押し込み・・・


更には・・・


テーブルの上に
無造作に
散らかっている・・・


透明なパケに入った・・・
覚醒剤とマリファナを・・・


丁寧に茶封筒の中へ
仕舞い込み・・・


小汚ない紙袋へ・・・
そっと戻すと・・・


緊張で湿った
自分の右手に・・・
しっかりと持ち直した・・・。


すると・・・


この拓弥の一連の動作を・・・


冷静な面持ちで
見据えていた
春斗の兄貴が・・・


シワがれた声を
更に絞りながら喋り出す・・・。


「俺もこれから・・・
忙しくなるしなァ・・・


拓弥のお守り(おもり)は・・・


春斗に・・・
全部任せっから・・・


※飛ばないように・・・
きっちり見張っとけよ・・・?




あーそれと・・・


拓弥ァ・・・


これでお前も・・・
東京連合に・・・


完全に・・・
関わった訳だしなァ・・・


今度クスリ絡みで・・・
お前の名前を耳にした
暁(あかつき)には・・・


まァ・・・
マグロ魚船にでも
乗っけて・・・


知らない外国に・・・
売り飛ばしてやっから・・・


そのつもりでな・・・。」


目を見張り・・・
固唾を飲んで
話を聞いていた拓弥は・・・


春斗の兄貴が
話し終えた瞬間・・・


思わずサッと
立ち上がると・・・


無言のまま
勢いよく・・・
深々と頭を下げた・・・。






※【飛ぶ】
夜逃げ同然に
行方をくらませる。
という意味の隠語。















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