『幼なじみ』
第31章 遭遇
『み・・・美波ッ・・・!』
あたしは・・・
声に出せないまま・・・
心の中で咄嗟に・・・
美波の名前を叫ぶ・・・。
しかし・・・美波は・・・
何・・・気付く事なく・・・
そのまま男と
戯れながら・・・
ズンズンと・・・
蒸し暑い・・・
ダンスフロアへと
向かって行ってしまう・・・。
そして・・・
そんな美波の背中を・・・
ただ呆然と
見送りながら・・・
無意識に・・・
空になった
ペットボトルを・・・
床に落とし・・・
呆気に取られたまま・・・
スーッと流れるように・・・
美波の隣に・・・
目線を移したあたしに・・・
またしても・・・
ノックアウト寸前の
衝撃が・・・
忽然と舞い降りる・・・。
『あ・・・あの・・・隣の男・・・
や・・・やっぱり・・・
喜多見さん・・・
だよ・・・ね・・・?
と・・・とにかく早く・・・
あの男から・・・
美波を引き離さなきゃッ!』
バーテンダーの話通り・・・
大切な親友美波の・・・
隣に居る男が・・・
あの鼻持ちならない・・・
喜多見なんだと・・・
自分の頭が理解し始め・・・
動揺しながらも・・・
戦闘態勢に・・・
シフトチェンジした
あたしは・・・
二人を見失うまいと・・・
ハウスの曲調に合わせ
体を揺らし続けている・・・
ダンサー達を・・・
むやみやたらに
押し退け・・・
グイグイと前に
進んで行く・・・。
そして・・・
二人の背中に
手が届きそうな
距離まで・・・
ジリジリと・・・
近付いて行き・・・
あたしが・・・
「美波!」と・・・
声を掛けようとした
その瞬間・・・
何か・・・
殺気を感じたのか・・・
美波の隣で・・・
にわかにほくそ笑む
その男が・・・
パッと勢い良く・・・
豪快に・・・
後ろを振り返った・・・。