
『幼なじみ』
第31章 遭遇
「アレ・・・?!
悠希ちゃんッ・・・?!
こんな所で・・・
何してるのッ・・・?!」
一瞬・・・
目を見開き・・・
驚いた様子で
あたしを
凝視した喜多見が・・・
急速に作り笑いを
浮かべながら・・・
弾んだ声で・・・
喋り続ける・・・。
「アッ・・・そっか・・・!
美波ちゃんが・・・
心配だから・・・
迎えに来たんだよね・・・?
ゴメンゴメン・・・
俺・・・さっき・・・
悠希ちゃんは・・・
男とシッポリ
やってるって・・・
美波ちゃんから
聞いたからさ・・・
てっきり・・・
先に帰ったとばかり
思ってたよ・・・。
アッ・・・俺達・・・
偶然階段で・・・
再会したんだけど・・・
ちゃんと・・・
仲良くやってるから・・・
安心して・・・!
ね~!美波ちゃん!」
喜多見が・・・
美波に同意を
求めると同時に・・・
何事も・・・
無かったかのような
平然とした面持ちで・・・
ゆっくりと・・・
振り返った美波は・・・
一瞬・・・
ギロリとあたしを
睨み付けたものの・・・
咄嗟に・・・
喜多見に
負けず劣らずの・・・
作り笑いを浮かべると・・・
片方の口角を・・・
引きツラせながら・・・
上から目線で口を開く・・・。
「なぁーんだ・・・
悠希・・・
まだ居たんだぁ・・・
幼なじみ君は・・・
どうしたの~?
悠希・・・ひょっとして・・・
嫌われちゃったとか?!
まぁ・・・いいや・・・
つか・・・
今から喜多見さんと・・・
マッタリ踊ろうと
してんのに・・・
あたしたちの邪魔・・・
しないでくんないッ・・・?!」
拓弥に何か・・・
相当なキツイ事を
言われたのであろう・・・
明らかに・・・
嫉妬心を剥き出しにする
美波は・・・
心配した素振りを装う
喜多見の横で・・・
嫌みたっぷりに・・・
あたしに噛み付いた・・・。
