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『幼なじみ』

第32章  暗転



「良かった・・・!


これで決まりだね・・・!


悠希ちゃん!
心配しないでよ・・・!


これからも勿論・・・


美波ちゃんのコト・・・
大事にするからさ・・・!


任せといて・・・!





アッ・・・でね・・・?



さっき・・・
美波ちゃんには
話したんだけど・・・


実は・・・俺・・・
この後3時に・・・


約束入っちゃってさ・・・


どうしても・・・
行かなきゃ
ならないんだ・・・。



美波ちゃん!悠希ちゃん!


車で家に・・・
送ってあげられなくて
ごめんね・・・?


パーティーの詳細が
決まったら・・・


必ず美波ちゃんには
連絡するし・・・


今日はもう・・・
遅いからさ・・・


二人とも・・・


怪しい男に
引っ掛かる前に・・・


タクシーで
家に帰って・・・ね・・・!」


慌ただしく・・・


腕時計と
あたしたちの顔を・・・
交互に見つめ・・・


タクシー代とばかりに・・・


五千円札を・・・
気前良く・・・
差し出してくる
喜多見の手から・・・


渋々ながらも・・・
金を受け取った美波が・・・


その金を大事そうに・・・
胸元に仕舞いながら・・・


伏し目がちに・・・
口を開く・・・。


「もう・・・3時かぁ・・・


つまんないなぁ・・・


つか・・・


もう直ぐ・・・
あたしたちも・・・
家に帰るし・・・


安心して・・・?




タクシー代・・・有難う!


喜多見さん・・・
必ず・・・連絡してよ・・・?


待ってるからね・・・!」


二人のやり取りを
黙って傍観するしか
出来ない・・・
あたしを差し置き・・・


ニッコリと
微笑んだ喜多見は・・・


コロナビールを
持った片手を
高々と持ち上げ・・・


パッと背を向けると・・・


アッと言う間に・・・


颯爽と・・・
人混みの中へと
消えてしまった・・・。















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