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『幼なじみ』

第33章  救済



そして・・・


あたしの腕を・・・
優しく掴み・・・


一階の・・・
エントランスへ続く・・・
だだっ広い階段へ・・・


ゆっくりと・・・
歩き始める
梨香の横で・・・


為すがままの
あたしは・・・


抵抗する事もなく・・・
穏やかに・・・
足取りを共にする・・・。


「送ってくれて・・・
有難う・・・


あ・・・あたし・・・ね・・・?


勘繰ってる
訳じゃなくて・・・


あんまりにも・・・
梨香ちゃんが・・・


その・・・美人だからさ・・・


何か・・・
気後れしちゃうって
言うか・・・


緊張・・・
してるんだよね・・・?


アッ・・・でも・・・


ホント・・・


声掛けてくれて・・・
有難う・・・!


今度・・・
お礼も兼ねて・・・
連絡入れるね・・・?」


逆に梨香から・・・
勘繰られないよう・・・


ペラペラと・・・
社交辞令を
並べ立てる・・・
さ中・・・


突然・・・


隣に居る梨香を
包み込む・・・


どこか・・・
悲しみにも似た・・・
オーラが・・・


あたしの体内に
入り込み・・・


梨香の素性は・・・


実は・・・
計り知れない程の・・・
淋しい人間なのだ・・・
と・・・


激しく・・・
あたしの心に
訴え掛ける・・・。


まさかの・・・
得も言われぬ
不思議な出来事に・・・


信じられない
面持ちのまま・・・


美しく整っている
梨香の横顔を・・・
見つめていると・・・


一気に・・・
ギューッと・・・
胸が締め付けられ・・・


梨香の淋しさを
否が応にも
共有してしまった
あたしは・・・


梨香に対し・・・
警戒するのを止め・・・


この女(ひと)と
仲良くなって・・・
あげよう・・・と・・・


慈悲深い心の扉を・・・
静かに・・・
開けてしまった・・・。
















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