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『幼なじみ』

第35章  威嚇



『マッ・・・マズイッ・・・!
誰か・・・来るッ・・・!!』









全神経を
研ぎ澄ませ・・・


屋上の黒い鉄の扉に
集中する拓弥に・・・


凄まじい程の
緊張感が走り抜ける・・・。


次第に・・・
大きくなって行く
足音を・・・


必死になって
耳で追い掛けていると・・・


そのリズムに
合わせて
飛び跳ねる心臓が・・・


口からブハっと・・・
飛び出して
しまいそうな・・・


あたかも・・・
ホラー映画
真っ青な感覚が
襲い掛かって来る・・・。


時間すら
止まった錯覚に囚われ・・・


余りの緊張からか・・・
強烈に酸っぱくなった
唾液を・・・


ゴクリと・・・
喉元を鳴らし
飲み込むうち・・・


拓弥は・・・


徐々に・・・
最悪な妄想に・・・
心奪われて行く・・・。


『も・・・もし・・・今・・・
ここに・・・


厄介な警察が・・・
上がって来たら・・・




間違いなく・・・
この俺は・・・


大量の・・・
マリファナ所持と・・・


覚醒剤・・・
取締り法違反の罪で・・・


初犯だとしても・・・


二・三年は・・・
ムショ行き確定・・・だな・・・






アー・・・クソッ・・・!


こんなところで・・・


人生棒にして・・・
られっカヨッ・・・!!』


足音に怯みながら・・・


必死になって・・・
角材を身構える・・・
少年を尻目に・・・


妄想に・・・
取り憑かれた拓弥が・・・
黒い鉄の扉を
激しく睨み付けた・・・


その瞬間・・・


ハウリングする
耳障りな足音が・・・


パタッと・・・
鳴り止んだかと思うと・・・


突然・・・
真っ黒な人影が・・・


ガッ!と屋上に・・・
飛び込んで来た・・・。
















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