
『幼なじみ』
第36章 冷徹
「フッ・・・
待たせたな・・・」
含み笑いを浮かべ・・・
颯爽と屋上に
駆け込んで来た・・・
その黒い人影は・・・
なんと・・・
ある意味・・・
拓弥が待ち望んでいた・・・
悪魔の申し子・・・
喜多見であった・・・!
すると・・・
その後ろからは・・・
タチの悪そうな・・・
危険な匂いのする
数名の物騒な輩たちが・・・
怯む拓弥を・・・
穴が開くほど睨み付け・・・
ポキポキと・・・
指の関節を鳴らしながら・・・
揃いも揃って
豪快に・・・
喜多見に肩を
並べて行く・・・。
「拓弥~?
元気そーだなぁ・・・
調子はど~よ・・・?」
威勢良く・・・
問い掛けて来る・・・
喜多見の・・・
冷やかすような声を・・・
耳にした途端・・・
怒涛の如く
押し寄せる怒りと・・・
ド緊張の狭間で・・・
体中の細胞が・・・
一気にピキピキと・・・
沸き上がって来るが・・・
そんな拓弥をヨソに・・・
あたかも冷静な・・・
喜多見は・・・
俺は何も知らない・・・
とばかりに・・・
白々と・・・
ほくそ笑んでいる・・・。
そして・・・
正に春斗が・・・
言っていた通り・・・
短髪な黒髪を・・・
キッチリ整えた・・・
大学生紛いの・・・
喜多見の小綺麗な
装いからは・・・
いかにも・・・
善人丸出しと言った
雰囲気は・・・
漂ってはいたが・・・
自分の兵隊を連れ・・・
かなり・・・
ご満悦なのだろう・・・
余裕綽々とばかりに・・・
人を・・・
舐め腐った態度で
見下しながら・・・
堂々と仁王立ちする・・・
目の前の喜多見に・・・
残念ながら・・・
中学の頃の・・・
あの優しかった・・・
良き先輩の面影は・・・
全く以て・・・
微塵も有るハズが・・・
なかった・・・。
