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『幼なじみ』

第36章  冷徹



「ス・・・スゲー・・・な・・・」


目の前で・・・
繰り広げられた・・・
サリーの・・・
鮮やかな曲芸に・・・


完全に・・・
度肝を抜かれた拓弥が・・・


思わず・・・
感嘆の声を・・・
挙げるさ中・・・


流石に・・・
動揺の色を
隠せない様子の
喜多見が・・・


眉間に・・・
深々とシワを
寄せながら・・・


悔し紛れに・・・
地団駄を踏む・・・。


「チッ・・・!


舐めやがって・・・





サリー・・・


このままで済むと・・・


思うなよッ・・・?!」


顔を紅潮させ・・・


喉から・・・
絞り出したような
低い声で・・・


何ともおぞましい
捨て台詞を吐いた
喜多見だったが・・・


今は・・・
追い掛けても無駄だと・・・
判断したのか・・・


どうしたものかと・・・
躍起になっている・・・
タチの悪い輩たちを・・・


忌々しい表情で
見据えながらも・・・


戻って来いと
ばかりに・・・
手招きをする・・・。


そんな・・・
殺伐とした・・・
此方の屋上の様子を・・・


跳び移った・・・
隣の雑居ビルから・・・


息を殺し・・・
密かに伺っていた
少年サリーは・・・


追い掛けて来ない・・・
輩たちに向かって・・・


一瞬・・・
ニヤリとほくそ笑み・・・


喜多見たちを・・・
敢えて・・・
威嚇するかのように・・・


持っていた角材を
勢いよく
ブン投げると・・・


タタタタッと足早に・・・


雑居ビルの
屋上の非常口に
駆け寄り・・・


重そうな鉄の扉を・・・
一気にコジ開け・・・


あたかも・・・
サバンナで・・・


草食動物が・・・
ライオンから・・・
逃げ切るかの如く・・・


アッと言う間に・・・


ビルの屋上から
その姿を消した・・・。

















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