『幼なじみ』
第37章 騙欺(へんぎ)
そして・・・
薄暗い夜空から・・・
瞬く星が・・・
次第に消えて行き・・・
夜明けの準備が・・・
着実に・・・
始まろうとするさ中・・・
トンでもない・・・
想定外の行動で・・・
アッと言う間に・・・
目の前から
姿を消した
少年サリーの残像を・・・
立ち竦んだまま・・・
憮然とした表情で
見つめるしか
出来ない
喜多見たちの間に・・・
どんよりとした
重たい空気が・・・
一気に立ち込める・・・。
そんな・・・
敗北感漂う・・・
この屋上で・・・
どうやら・・・
負けを
認めたくないのか・・・
足早に・・・
自分の元へ戻って来た・・・
手下たちを・・・
鋭い眼光で・・・
キッと睨み付けた
喜多見が・・・
顔面をピキピキと
引き吊らせ・・・
かなり・・・
苛ついた雰囲気を
醸し出しながら・・・
攻撃的に口を開く・・・。
「なァ・・・お前ら・・・
今度サリー・・・
見つけたらなァ・・・
半殺しは勿論・・・
確実に・・・落とし前・・・
つけさせろ・・・
分かったなッ・・・!」
黙って頷く・・・
タチの悪い輩たちを・・・
横目に・・・
悔しさを・・・
無理に
押し殺した様子の
喜多見だったが・・・
あんな小物に・・・
翻弄されている
場合ではないと・・・
すぐさま頭を・・・
切り替えたのだろう・・・
未だ・・・
呆然とした顔つきで・・・
隣の屋上を
見つめたままの拓弥に・・・
ふいに視線を向け・・・
いつもの・・・
冷ややかな笑みを
浮かべると・・・
突然・・・
何事も・・・
無かったかのような
口振りで・・・
淡々と喋り始めた・・・。