
『幼なじみ』
第39章 安息
冷たい・・・
コンクリートの地面に
バラ撒かれた・・・
数枚の写真の表面に・・・
白々と・・・
明けてきた空が・・・
人を嘲笑うかの如く・・・
不気味に・・・
乱反射している・・・。
そんな・・・
目の前のトラップに・・・
自ら・・・
掛かろうとしている
滑稽な自分が・・・
ふと・・・
情けなくなった拓弥は・・・
一瞬・・・足を止め・・・
否が応にも・・・
その場で躊躇する・・・。
しかし・・・
そんな邪念を・・・
すぐさま一蹴し・・・
今一度・・・
写真の傍に
駆け寄りながら・・・
胸に抱えていた
薬物入りの紙袋を・・・
器用に・・・
自分の右脇に
挟んだ拓弥は・・・
サッとその場に・・・
しゃがみ込み・・・
両手を伸ばすと・・・
一心不乱に・・・
目の前の写真を
かき集めて行く・・・。
すると・・・
一瞬・・・
どこかで・・・
見たような景色が
目に映り・・・
ハッと・・・
動きを止めるが・・・
喜多見との距離が
余りにも近いセイか・・・
咄嗟に・・・
防衛本能が・・・
働いたのだろう・・・
無造作に・・・
かき集めた写真を・・・
バッと・・・
握り締めると・・・
自分の背中を・・・
敵陣には・・・
見せないよう・・・
前を向いたまま・・・
その場を・・・
ダッシュで離れた・・・。
『い・・・一体・・・
何が・・・写ってんだ・・・?
そ・・・そんなに・・・
ヤバイ・・・証拠なのかよ・・・
ク・・・クソッ・・・!!』
それといった・・・
心当たりが
無いとはいえ・・・
不安な気持ちに
益々拍車が掛かり・・・
冷や汗が・・・
ドバッと・・・
吹き出して行く・・・。
そして・・・
漸く・・・腹を決め・・・
パタリと・・・
足を止めた拓弥が・・・
握り締めている
写真の一枚目に・・・
恐る恐る・・・
顔を近づけ・・・
その画(え)を・・・
ジーッと・・・
穴が開くほど・・・
凝視した・・・
その瞬間・・・
拓弥の目に・・・
トンでもないモノが
映り込んだ・・・。
