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バンッ･･･！


慌ただしく･･･
救急車の扉が閉められ･･･


外の喧騒を･･･
瞬く間に･･･
シャットアウトする･･･。




ピーポーピーポー･･･


けたたましい
サイレンの音が･･･
再度鳴り始め･･･


咄嗟に･･･
あたしたちが
備え付けの椅子に
腰掛けたと同時に･･･


車が･･･
地面を滑るように
発進して行く･･･。


そして･･･


徐々に･･･
スピードが上がり･･･


騒然とする車内に･･･
益々緊張感が･･･
高まって行くさ中･･･


ストレッチャーに
横たわる･･･


酸素マスクや
点滴を施された･･･
拓弥かもしれない
その男を･･･


一目だけでも
確認しようと･･･
思い立ったあたしが･･･


ふいに腰を上げ･･･
覗き込んだ矢先･･･


救急隊員の一人が･･･


堰を切ったように･･･
話し掛けて来る･･･。


「そこの女性･･･！


この方の･･･
親御さんの連絡先･･･


知りませんかッ･･･？！」


いきなりの質問に
慌てふためき･･･


浮いた腰を･･･
即座に戻しながらも･･･


この男の素性すら･･･
分からない今･･･


何も知らない･･･
とばかりに･･･


首をブンブンと･･･
横に振ったあたしに
向かって･･･


その隊員が･･･
淡々と話し続ける･･･。


「そうですか･･･


分かりました･･･。


では･･･この方を･･･


ここから･･･
一番近い･･･


芝浦中央病院に･･･
搬送しますので･･･


もし･･･


親御さんと･･･
連絡が取れるよう
でしたら･･･


すぐに･･･
病院に来るよう･･･
お伝え下さい･･･。」



「アッ･･･あの･･･！


この･･･た･･･タクヤ君･･･


そんなに･･･
危ない状態･･･
なんですか･･･？！」


マニュアル通りなのか･･･


救急隊員が･･･
藪から棒に･･･
家族召集を
告げるや否や･･･


一気に･･･
不安感に煽られ･･･


この怪我人の安否が
無性に･･･
気になってしまった
あたしは･･･


なりふり構わず･･･


咄嗟に･･･
質問を繰り出していた･･･。