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『幼なじみ』

第41章  慟哭(どうこく)



「そこの女性の方・・・!


タクヤさんの
お知り合いですね・・・!


処置も一通り・・・
終わりましたので・・・


廊下突き当たりの
エレベーターから・・・


六階中央の・・・
ナースセンターに
行って頂いて・・・


看護師に・・・
声を掛けて下さい・・・!」


目の覚めるような
突然の朗報に・・・


嬉しさの余り・・・


勢い良く・・・
立ち上がった途端・・・


膝の上に・・・
置いたままの
ビニール袋ごと・・・


ドサッと・・・
床に落としてしまうが・・・


そんな事は・・・
お構い無しに・・・


声を掛けてくれた
女性を・・・
咄嗟に見つめ返した
あたしは・・・


無我夢中に・・・
笑顔を作りながら
言葉を繋ぐ・・・。


「たッ・・・拓弥は・・・


生きてるん・・・ですね・・・!!





あッ・・・有難う・・・


ございましたッ・・・!!」


バッ!と・・・
勢い良く頭を下げ・・・


その流れで・・・


床に落ちた・・・
拓弥の血まみれの
Tシャツを
拾い上げながら・・・


再度・・・
ビニール袋に
ギュッと詰め込み・・・


胸に抱え込むと・・・


セキュリティの
存在すら忘れたまま・・・


受付横の・・・
薄暗い廊下に・・・
足早に向かい・・・


わき目も振らず
突き進んで行く・・・。


『拓弥・・・


今・・・行くから・・・


待っててッ・・・!!』


ハヤる気持ちを
押し殺し・・・


拓弥の笑顔を・・・
必死に
思い浮かべながら・・・


廊下突き当たりの
エレベーター前まで・・・
どうにか辿り着いた・・・
あたしは・・・


一先ず・・・
上がった息を・・・
落ち着かせようと・・・


大きく深呼吸すると・・・


真っ直ぐ・・・
前を見据え・・・


壁に埋め込まれた・・・
矢印の上のボタンを・・・


魂を込めた
人差し指で・・・
力強く押した・・・。

















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