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『幼なじみ』

第41章  慟哭(どうこく)



すると・・・


多分に・・・
拓弥の血に
まみれているであろう・・・
あたしの顔を・・・


そっと覗き込んだ
セキュリティが・・・


明るく励ますように
声を掛けて来る・・・。


「少し・・・落ち着いたか・・・?




あのさぁ・・・


その・・・顔・・・
洗わないと・・・


美人が台無しだよ・・・?


アハハ・・・




アッ・・・そうだ・・・!


今・・・飲み物・・・
買って来てやるよ・・・!


これからアンタ・・・
忙しくなるだろうから・・・


冷たいモノでも
飲んでさ・・・


シャキッとしな・・・!!」


涙も拭き終わり・・・


漸く・・・
落ち着きを・・・
取り戻して来た
あたしに向かって・・・


優しく微笑みながら・・・


勢い良く・・・
椅子から立ち上がった
セキュリティは・・・


サッと・・・
この場を離れ・・・


受付の真横から
一直線に続いている
薄暗い廊下を・・・


颯爽と歩いて行く・・・。


「ヒック・・・


あ・・・りがと・・・う・・・


ヒク・・・ヒック・・・」


精一杯の・・・
感謝の言葉を・・・
口にしながら・・・


セキュリティの背中を
見送るうち・・・


温かい激励のお陰で・・・


徐々に・・・
現実を受け止められる
状態にまで・・・
立ち直ったあたしは・・・


とにもかくにも・・・


この過酷な試練を・・・
拓弥と一緒に
乗り越えようと・・・


自分を奮い立たせ・・・


この切なる思いが・・・
ICUに届けとばかりに・・・


一心不乱に・・・
祈り始める・・・。


『た・・・拓弥・・・


死なないで・・・!




あ・・・あたし・・・


拓弥の為なら・・・


どんな事でも・・・
するから・・・!!





一緒に・・・頑張ろ・・・!!』


ハンカチを・・・
握りしめたまま・・・


小刻みに体を震わせ・・・


暫くの間・・・
必死に哀願する
あたしの耳に・・・


この緊迫した空気を・・・
一蹴するかのような・・・


女の高らかな声が・・・


突然・・・
入り込んで来た・・・。















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