『幼なじみ』
第42章 難局
「婚約者の方でしたか・・・
この度は・・・
大変でしたね・・・
えー・・・では・・・
まず結論から
申し上げますが・・・
タクヤさん・・・
命に別状は・・・
無いと思われます・・・。
奇跡的に・・・
見た目ほど・・・
状況は悪くなく・・・
全身に受けた・・・
打撲傷と
頭部の擦過傷以外は・・・
特に目立った・・・
外傷もありませんし・・・
まだお若いですのでね・・・
一週間ほど・・・
入院して頂いて・・
経過が良ければ・・・
あとは・・・
自宅療養で
大丈夫でしょう・・・。
ただですね・・・
明日MRIを撮って・・・
経過を見てから・・・
お話しようと
思っていたのですが・・・
頭部に受けた
衝撃により・・・
万が一・・・
脳内に・・・
何かしらの損傷が
及んでいた場合・・・
残念ですが・・・
後遺症が・・・
出てしまうかも・・・
しれないんですよ・・・
そーですね・・・
例えば・・・
上手く・・・
話せなくなったり・・・
手足が・・・
動かなくなったり・・・
あとは・・・
記憶を一部・・・
失ってしまうとか・・・
人によって・・・
症状は・・・
まちまちなのですが・・・
可能性が・・・
ゼロではないと
いうことを・・・
頭に入れておいて
頂きたいと思います・・・。」
命に別状はないと・・・
医者から告げられ・・・
安堵したのも束の間・・・
救急隊員も・・・
ほのめかしていた・・・
後遺症という・・・
信じがたい言葉を
再び耳にし・・・
一気に・・・
不安感に煽られた
あたしは・・・
昨日からの・・・
極度の疲労も重なり・・・
目の前が・・・
途端に真っ暗な闇に
包まれたかと思うと・・・
遂には・・・
倒れこむように・・・
その場で気を失った・・・。