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『幼なじみ』

第42章  難局



そして・・・
みるみるうち・・・


拓弥の血と・・・
化粧の残骸で・・・
汚れてゆくおしぼりを・・・


ゆっくりと・・・
顔から離しながら・・・


別人になった
つもりで・・・
スッカリ心を
入れ替えたあたしは・・・


怪訝な表情で
此方を見つめている
担当医に向き直り・・・


とある賭(カケ)に
出ようと試みる・・・。


「堀越先生・・・


お世話になります・・・



あの・・・私・・・拓弥の・・・






婚約者です・・・!!



ちょっと・・・
動揺してしまって・・・


取り乱して・・・
スミマセン・・・。




あの・・・


つかぬこと・・・
お聞きしますが・・・


婚約者だったら・・・


拓弥の怪我の具合を・・・


詳しく知る権利・・・
ありますよね・・・?






覚悟は出来ています・・・


とにかく・・・


拓弥の全てを・・・
知りたいんです・・・!


悪い結果でも・・・
何でも・・・
受け止めますので・・・


包み隠さず・・・


教えて下さい・・・!」


いつか見た・・・
テレビドラマの
ワンシーンで・・・


若い女医が・・・


【個人情報を
保護するため・・・


親族以外の方には・・・
詳しい病状を
教えられません・・・】


と・・・
悲しげに・・・
ブラウン管の中で・・・
吐露していた姿を・・・


土壇場で・・・
思い出したあたしは・・・


そのドラマが
フィクションだろうが
お構い無しに・・・


拓弥の婚約者に
なりきり・・・


思いの丈を・・・
ぶつけてみる・・・。


すると・・・
有難いことに・・・


すぐさま・・・
あたしの嘘を
受け入れてくれたのか・・・


此方に向かって
軽く会釈した・・・
その担当医が・・・


では早速とばかりに・・・


白衣のポケットから
何やら書かれた・・・
メモを取り出すと・・・


医者の仕事を
全うすべく・・・
淡々と話し出した・・・。
















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